相続した不動産の中に「未登記建物」が含まれている場合、その後の手続きに戸惑うこともあると思います。
ここでは、未登記建物とは何か、それを相続した場合にすべきことについて、司法書士が解説します。
未登記建物はなぜ存在する?
未登記建物とは、その建物が法務局に登記されていない状態の建物のことを指します。
未登記建物が存在する主な理由としては、昔建てられた建物について、登記が行われずに現在まで至っていたり、既存の建物に増築や改築を行った際に、その部分の変更登記が行われていないなどの理由が挙げられます。
また、居住用ではない比較的小規模な建物については、登記の必要性を認識していなかったり、登記費用を惜しんだりして登記していないケースもあります。
未登記建物を放置するデメリット・リスク
未登記建物を放置することには、建物の所有者が誰であるかを第三者に明確に示すことが困難となったり、相続の際、相続人全員で遺産分割協議を行っても、登記がないために所有者を明確にすることができず、遺産分割後の手続きが滞る可能性があるなどのデメリットがあります。
加えて、法律が定める期間の間に、登記を行わなかった場合行政からの指導や過料の対象になるリスクもあります。
未登記建物を相続した場合にすべきこと
相続で未登記建物を引き継いだ場合、速やかに登記手続きを進めることになります。
具体的には、以下のような手続きを進めます。
- 固定資産税の課税状況や家屋番号を確認する
- 必要書類を集める
- 相続人全員で遺産分割協議を行い、所有者を確定する
- 建物の物理的な状況(所在、種類、構造、床面積など)を表題登記として登記する
- 所有権保存登記を行う
未登記建物の登記手続きをするために集めるべき書類
上記のような手続きを行うために未登記建物の登記手続きには、さまざまな書類が必要となります。
表題登記をするために以下の書類があれば手続きをスムーズに行うことができます。
- 建物図面・各階平面図
- 建築確認通知書
- 検査済証
- 工事完了引渡証明書
- 工事請負契約書
所有権保存登記をするために必要な書類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 登記申請書の作成
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 固定資産評価証明書
これらの書類の中には、取得に時間や手間がかかるもの、あるいは紛失してしまっているものもあるため、事前に確認しておくことが重要です。
まとめ
相続で未登記建物を引き継いだ際は、速やかに固定資産税の課税状況を確認し、相続人全員で遺産分割協議を行った上で、表題登記と所有権保存登記の手続きを進めることが重要です。
これらの登記手続きは専門的な知識を要するため、司法書士に依頼することをおすすめします。