会社を設立する際に作成する定款は、その会社の基本ルールを定めたものであり、会社の状況や事業内容の変化に応じて、定款の内容を変更することはしばしばあります。
もっとも、すべての定款変更の登記を法務局に届け出なければならないわけではありません。
ここでは、定款の変更で変更登記が必要になるケースと注意点について考えていきます。
定款変更と変更登記の関係
定款とは、会社の商号、本店所在地、事業目的、発行可能株式総数、役員の構成など、会社の根本的な事項を定めた書面をいいます。
定款は、会社を設立する際に必ず作成され、公証役場で認証を受けることで法的効力を持ちます。
定款を変更した場合、その変更内容によっては、法務局に「変更登記」を申請しなければならないものと、そうでないものがあります。
変更登記が必要なのは、定款に定められた事項のうち、会社法911条3項に定められた登記事項(登記事項証明書に記載されるべき事項)に係る定款変更に限られます。
登記事項の具体例
以下のような会社法911条3項に定められた登記事項について、定款変更をする場合は、会社は必ず定款変更の登記を行わなければなりません。
- 会社の目的
- 商号
- 本店および支店の所在場所
- 資本金の額
- 発行可能株式総数
- 発行する株式の内容
- 発行済株式総数、株式の種類および種類ごとの数
- 取締役の交代
- 取締役会設置会社になること、または取締役会設置会社でなくなること
- 監査役設置会社になること、または監査役設置会社でなくなること
上記に限られるわけではなく、定款変更に際して変更登記が必要かは必ず正確に把握するようにしましょう。
なお、定款変更の登記を行う際には、1件あたり3万円の登録免許税の負担が発生します。
定款変更と登記の注意点
定款変更の登記は効力発生日から2週間以内に申請しなければなりません(会社法915条1項)。この登記を怠ると過料の可能性があり、
実際に登記の申請をしたとしても、実態と登記内容が異なると金融機関から融資が受けられなくなったり取引先との信用問題などのトラブルに発展することもあるため注意が必要です。
まとめ
定款変更を検討する際は、どの事項が登記事項に該当し、変更登記が必要になるのかを正確に把握することが重要です。
手続きは複雑であり、必要書類も多岐にわたるため、変更前に司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。